ポットン魔法少女★川屋流れ! 「出したら流す魔法少女大登場!」

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第一話

――「キャーッ! わたしがよく通う公衆便所の便器のアレが、な、流されて無いわぁぁ!」
そう悲痛な叫びをあげる若奥様。それもそのはず、便器に無ければならないブツが、そこに当然のように据わっているからだ。
「そんなー! これじゃ近づけないじゃない! どうしてくれんのよ!」
若奥様が、焦げ茶色した全身タイツを被った男を引っぱたく!
バチーン! ドゴシャアアアアア!
叩かれた勢いで、公衆便所の壁に打ち付けられる全身焦げ茶タイツの男。
彼こそ、トイレ悪事界の中小結社「ながさずそのまま団」の戦闘員なのだ。
めんどくさいから、ここで紹介しておく。
男だろうがなんだろうが、女子トイレに堂々と侵入し、用を足し、流さず去る。そんな極悪非道の悪党軍団の一員なのだ!

しかしいかんせん彼は新卒戦闘員で、ちょっと正直に言うと弱かった。
なので、柔道歴八年を誇る若奥様には負けてしまうのだ。一本取られちゃったのだ。
「もういいわ、さっさと流すことにするわ。」
そういい、鼻をつまみながらレバーに手を伸ばし、ブツを流す若奥様。
と、その時。
近くのファミマからフリフリの衣装を着た女の子が、こっちに走ってくるではないか!
どんどん近づいて行き、公衆便所の二人の元にたどり着いた少女。
「ぜぇぜぇ……お、お縄よ! 『ながさずそのまま団』の一戦闘員!」
そう息を上げながらも、大声で焦げ茶タイツに言い渡す少女。そう、彼女こそが
「力んで飛び出てウンピョロリ〜ン! わたしこそが地域の公衆トイレの平和を守る、トイレット魔法少女、『ポットンながれ』よ! 覚えといて!」なのだ。
そう言い放ち、すぐになにやら背面から、ラバーカップを取り出すポットンながれ。そのラバーカップをあたかもマジカルステッキのように操り、つぶやく。
「ゲリリンゲリリン、ベンピッピ! タイツ戦闘員を成敗しろー!」
タイツ戦闘員の顔面に急速に投げられる、ラバーカップ
ペタッ ギャァァァァアアアアアアアアァアァ
タイツはその場で断末魔を上げ、顔にへばりついたラバーカップを投げ捨てると、近くのファミマに走り去っていった。


「洗浄完了! さって帰ろうと。」
ポットンながれがそう言い、徒歩大体三十五分の実家まで歩いて帰ろうとすると、展開を終始眺めていた若奥様が引きとめた。
「あ、ちょっと待ってください。」
「え、は……はい」
「ありがとうございました。それでは。」
そうちゃっと言い捨て、アゴでお辞儀をし、若奥様はソソクサとどこかへ行ってしまった。
ローソンだろうか。
「……ドライな世の中だね……。でもだからこそがんばらないと!」
そうショボンとしつつも、眼はまっすぐ前を向いている。グッと拳を握る。
ポットンながれは基本ポジティブなのだ。そしてながれはちょっとした達成感と共に家路へと着くのであった。
負けるな、ポットンながれ! 地元の悪を流し終えるまで! 
〜第1話終〜